面測定型エリプソメータQ&A
Q1-1. BEPEシリーズの特徴は何ですか。
A1-1. BEPEは二次元エリプソメータPEL(Parallel Ellipsometer)と、多層薄膜エリプソメータ MFE(Multiple
Thin Film Ellipsometer)という2つの新しい特徴を1台の中に統合した膜厚と屈折率の測 定機です。
PELとは従来の1点測定型のエリプソメータSEL(Single Ellipsometer)数10万台の機能が1台の中に含まれているという意味です。
MFEアルゴリズムとは、従来より多くの変数の計算ができるように拡張したアルゴリズム、とい う意味です。MFEアルゴリズムは単一波長での測定データからでも、多くのサンプルに対して、3層膜までの各層の膜厚と屈折率の値や、1層膜でも膜と基板の光学定数与えることできます。
Q1-2. 膜厚測定の計算方法を説明してください。
A1-2. エリプソメータは1点ごとにδψ(サンプルで直線偏光が反射されたことによって起こる、反射偏 光の方位角と楕円率の変化)を測定します。膜の屈折率が既知であれば、その測定値を使ってFresnelの式な
どを用いて膜厚を一意に計算すること ができます。屈折率が不明の場合には、あらかじめ与えたサンプルのモデルから膜の屈折率を仮定し膜厚を計算します。その際同時に求まる膜厚の誤差項は屈折率の設定値と真値との乖離を表現するパラメーターなので、誤差の値が最小になるように屈折率を動かしていきます。この計算を繰り返し、誤差がある許容値以下になった場合の屈折率を実
際の屈折率と考えます。このようなプロセスで屈折率と膜厚を同時に計算することができるのです。
すなわち、あらかじめ入力したモデルの許容範囲内で測定値であるδψの逆問題として膜厚と屈折率を求めます。
MFEアルゴリズムは、モデルの探索をインタラクティブに行うことによって、エリプソメトリイの通常のアルゴリズムの適用範囲を拡大する手法です。
Q1-3. 他の方式との比較は?
A1-3. 干渉式の膜厚計は、屈折率はパラメーターとして入力します。Si上のSiO2の膜厚では1000Å以 上程度の厚さが信頼できる膜厚値です。
一点式のエリプソメータSELでは200Å以下では屈折率と膜厚の 信頼できる同時測定ができません。それ以下の膜厚では屈折率を一定値に仮定しないと膜厚の測定値も大きな繰
り返し測定誤差が生じます。しかしこの範囲の酸化膜はその密度すなわち屈折率はプロセスパラメーターによっ てかなり変わる可能性があります。またサンプル面内の変動も大きいことが知られています。したがって200
Å以下では屈折率が測れないだけでなく、膜厚値も正しいとはいえません。 SELになぜこのような限界があるかはおそらくそのビーム径とサンプルの粗さとの関係ではないかと思われま
す。エリプソメトリーは入射光が平面波であるという前提で計算をおこないます。したがって波長の100倍程 度すなわち50μmくらいのビーム径が精度良く測れる限界であるといえます。通常のSELは1mmくらいの面
内分解能で測定しているはずです。一方薄い膜では面内の不規則性や、界面の影響によってもっと細かい分解能 で測定することが必要です。 BEPEの面内分解能はCCDカメラの画素数によって決まります。BEPEは50Åまでのシリコン酸化膜の
屈折率と膜厚の同時測定を保証しています。
Q2-1.50Å酸化膜のウェハー40万点の測定結果で、屈折率がMAX1.38、MIN1.35となっていますが 差が大きすぎないですか?
A2-1. このサンプルはむしろばらつきの少ないサンプルです。70Å以下程度の薄膜では構造遷移層の関係 で、密度のばらつきが厚い膜に比べて大きくなるため、一般的にはもっと大きな差があります。
Q2-2.エッチング後の酸化膜は25Å以下もあるようですが測定可能ですか?
A2-2. 膜厚10Åのサンプルも屈折率と膜厚を同時に測定してます。ただし、その値は屈折率を固定して測 定している他社測定機での値と多少異なっています。
Q2-3. 厚い膜の測定はどこまで可能ですか?
A2-3. 光が透過しない厚い膜は測定ができないか、精度が大幅に低下します。
光の侵入の深さは約λ/kです。シリコンでは20μぐらいが大体の限界の目安です。
Q2-4. Oxideの上にPolyが成膜された時それぞれの測定が可能ですか?
A2-4. OPOの測定データ、またはPoly-Si(500 Å)/SiO2(1500 Å )/Poly-Si(1000 Å)/石英の測定データなどが ございますのでデータをご請求ください。
Q2-5. フォトレジストも測定可能ですか?
A2-5. 実用的に使用されている膜厚範囲までカバーしています。
Q3-1. 定められた9ヶ所だけの(1μm×3μm)測定も可能ですか?また、測定時間はどうなりますか ?
A3-1. 計算方法、エリアの選択はかなり自由にできます。測定時間は変わりませんが計算時間は測定点数に 比例します。1変数計算では1ポイント0.05msecです。また、9エリアを1μm×3μmの分解能で各エリアを 400,000ポイント測定する事も可能です。面内を1〜最大測定ポイント数まで、測定場所、測定ポイント数を任 意に設定して測定する事ができます。
Q3-2. 同一点を10回反復測定した時の再現性はどうですか?
A3-2. 40万画素CCDカメラを使用して、30ÅのSiO2膜の約12万点をの屈折率と膜厚を10回連続して同時測定し ました。膜厚で±1.5Åとなりました。繰り返し精度を大幅に向上させるにはオプションの冷却型CCDカメ
ラを使用してください。
Q3-3. ウェハーのエッジ部での乱反射の影響はありませんか?
A3-3. 焦点をウェハー全面に合わせてあるので乱反射の影響はありません。ただし、エッジ部はテーパー等
がありますので正確な値にはなりません。
Q3-4. 2次元の分光エリプソメータはありますか?
A3-4. 当社の2次元分光エリプソメータはこれまでの分光エリプソメータが持っていた諸問題 (光源の純粋性、屈折率の波長依存性などを)を独自の光学設計とアルゴリズムによって解決したもので、サンプルの構造と特性の波長依存性について
物理的にリズナブルな解を与えるものです。
Q3-5. サンプルの反りへの対応について
A3-5. バキュームによってサンプルステージ(平面度1μm)に吸着することによって平らにしています。
ハードディスクのように両面に測定面があるサンプルの場合は、ステージから浮かせなければならないのでサン
プル自体が平面である必要があります。
Q3-6.サンプルの面内の凹凸への対応について
A3-6.@ 精細測定タイプによって凹凸より細かい面内分解能で測定します。
A 粗面上に形成された膜の場合は、ラフサーフェイスモデル(局所的に入射角が変動すると考えるモデル)で計算し
ます。
B BEPEの特徴としてはSEL(1点式のエリプソメータ)のように測定個所にビームを持っていく苦労
はいりません。
Q3-7. 測定時間および計算時間はどれくらいですか?
A3-7. 測定時間は1回15秒〜30秒です。高速モードは1回3秒です。 計算時間は標準的な薄膜の1ポイントあたり、 5変数計算(n1, k1,
d1, ns,ks)で4msec. 2変数計算(n1, d1)で 1msec. 1変数計算 (d1)で 0.05msec.です。
Q3-8. どんな種類の装置がありますか?
A3-8.
(1)QR120K
・ 200mmウェハーまでなら全面を1回で、300mmウェハーま
でなら2回で測定可能。
・ 測定点数:120,000ポイント(標準)
・ 面内分解能:100μm〜300μm
(2)QR400K
・ 200mmウェハーまでなら全面を3回で、300mmウェハーま でなら5回で測定可能。
・ 測定点数:1,400,000ポイント(標準)
・ 面内分解能:20μm〜60μm
(3) HR4000K
・ 300mmウエハー測定可能
・ スクライブラインやチップ内の一部を測定可能
・ 測定エリア:2×3mm(分解能2μm時)
・ 測定点数:1,400,000ポイント(標準)
・ 面内分解能:1μm以上
Q3-9. HRタイプで測定エリアをもっと広くできませんか?
A3-9. 画素数の多いカメラを使用することが一つの方法です。
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