HF処理し水素結合で覆われたシリコン基板(100)面上の自然酸化膜の成長を観察したものです。
初期には酸化膜は基板上に島状に形成され、それが酸化膜成長の核になります。
時間の経過とともに膜厚分布の中心は厚いほうにずれていく(13Days後は約25Å)とともにウエハー面全体を覆うようになります。
屈折率については、このサンプルの場合、初期は高い値(n=1.7)をもっており、時間が経過するにつれ通常の酸化膜の屈折率(n=1.46)を持つ成分が現れています。 屈折率のデータからは、大気中の有機物などによる不純物を含んでいる初期の成長段階から、酸素がシリコン中に拡散していき膜が形成されていくにつれ、通常のシリコン酸化膜の組成に置き換わっていく様子が観測されています。
自然酸化膜の成長はウェーハ内で一様ではないので、自然酸化膜にかんする測定値は測定ポイントと測定の面内分解能に依存します。成長の初期段階では薄膜が存在しない部分もあるので、これまでの1点測定式偏光解析装置のようなマクロな測定による膜厚は平均化した値で、実際より薄い値が得られます。
酸化膜の成長パターンが、結晶方位、表面の微細構造、環境条件にどのように依存するか、ウエハーのどの形状因子が成長を促進するかを知ることは興味ある課題です。
測定精度に関する注釈
1.各々の画面が表示している測定箇所は同一ではありません。
2.屈折率の測定値が十分な信頼性を持っていない5Å以下の極薄膜などはデータを表示しないので、図では表示されていない極薄膜が存在している可能性があります。
|